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2019/01/31
伝統は革新の連続
伝統とは革新の連続である。
「とらやの羊羹」で有名な老舗企業、黒川社長の有名なお言葉です。
500年もの老舗ブランドを守り続けた企業のお言葉ですから、
説得力とインパクトあるフレーズです。
雛祭りや端午の節句は、江戸時代より家庭行事として現代に伝わる、
300年を超える日本の伝統文化と言えます。
生まれてきた子を思い、健やかに育つよう願う...。
いつの時代であっても、その思いや理念に変りはありません。
しかしながら、時代の変化と共に日本人のライフスタイルも変化し、
「祝い」「願う」カタチにも少々変化が生じています。
私が幼い頃は、
女の子なら、赤い毛氈の華やかな七段飾り、
男の子なら、勇ましい子供大将の三段飾り。
ゴールデンウイークになれば、至る所に鯉のぼりが泳ぐ。
そんな光景を目にしておりました。
少子化、核家族化、住宅事情の変化...
今と比較するならば、「時代が変わった」のだと思います。
一方で、いつの時代であっても決して変わらないもの、
それは、子を想う深い「愛情」です。
その愛情が形になったのが節句人形であります。
ご来店下さいますお客様の声で一番多いのは、
「昔に比べたら随分と小さい(可愛らしい)お飾りになったんだね」
と、店内の品揃えの変化に驚かれます。
お人形業界の大先輩の中には、
「お人形は・・・でなければならない。」
と、姿形に拘る方もいらっしゃいますが、
私は、その時代に即した形に「進化・革新」し続けるべきと思います。
伝統は革新の連続。
変えてはいけないもの(こと)
進化すべきもの(こと)
この見極めが大切だと考えます。
日本の伝統文化に携わる一員として、
桃の節句・端午の節句の大切な「本質」をしっかりと継承すると共に、
常に新しい「形」を提案できるよう努めてまいります。
表題の写真は、
私が敬愛する関西の職人さんが作られた逸品です。
お人形の生地は、イタリアから輸入したジャガード生地。
そこに、スワロフスキーを贅沢に散りばめたもので、
あえて「和」の中に「洋」の繊細な技術を取り入れました。
背景の屏風は、京都西陣の技を用い正絹(シルク)帯地を配した、
繊細で優雅なものです。
匠の技術+デザイン性にも徹底してこだわったもので、
現代の住宅事情にも調和する「新しい価値観」を提案しております。
ほんの10年前には、あり得なかった商品(新しいカタチ)です。
伝統は革新の連続
大切なものを守り伝えるために、
変化を恐れず、常に進化を求めてまいります。
代表 柴崎 稔