3月3日のひな祭りの時、お雛さまの脇に
お人形を吊るす風習を「つるし雛」と呼びます。
江戸時代から伝わる習わしで、元は高価なひな人形を
飾ることのできない家庭で、親族から近所の方までみんなで
子どものために小さな人形を作ったのが始まりとされています。
祖母や母が子供の幸せ、成長を祈り、ひと針ひと針、
縫い上げたつるし雛は日本古来の伝統文化です。
一体一体いわれのある人形は、着物のはぎれやちりめん素材を使い、
日本の四季折々の風土に合う柄選び、型取り、
縫い上げという行程を経て丁寧に作られています。
部品の数が多ければ多いほど柄の種類や型取りなどの工程が増え、
複雑になりますが愛情のこもった豪華な「つるし飾り」に仕上がります。
中には、100体以上つるされている物もあるほどです。
吊るされるお人形は、地域や家庭ごとに異なりますが、
大きく分けて7つのカテゴリーに分けられ、
「子どもの成長」、「子宝」、「招福」、「長寿」、
「金運」、「厄除け」、「五穀豊穣」に基づいて
それぞれ願いが込められています。
ひな人形の隣を彩る可愛らしいお守りのつるし雛。
子どもの成長を願う親心はいつの時代も変わりません。
子どもの成長を願う親心がこもったつるし雛。
それぞれのお人形にこめられた願いの一例をご紹介いたします。
心なごむ赤い金魚は魔よけの色。
多産祈願にも通じる縁起のよい魚。
香袋。お香は貴重品で薬でした。
鱗とも言い、厄除けとしても
使われます。
物やお金に不自由しないように。
また、楽しい幼少期を過ごし
幸せな人生になりますように。
厄、災い、病が「去る」にかけて。
無病息災を祈ります。
お正月遊びにも使われる縁起物。
家族の幸せ、人の輪、人生の輸
神の使いで平和の象徴。
鳩はむせないため、お乳を良く
飲めますように。
食べ物に困らぬように。
紅白の入った団子は縁起も良い
食べ物です。
呪力があるとされるうさぎは、
神様のお使いでもあります。
赤い目には魔よけの意味も。
早く歩けますように、足が丈夫に
育ちますように。
将来働き者になる願いもこめて。
鶴は千年、亀は万年。
ともに長寿の象徴です。
寒がらぬように。
将来着る物に困らぬように。
子どものおもちゃ。
元気に遊んで早く育ちますように。
早くお座りができますように。
女の子が生まれると贈られる
縁起物。厄をはね除け、
幸せを招くように。
益鳥として縁起が良いつばめ。
子孫繁栄、また商売繁盛とする
地域も。
子守りの時に使うでんでん太鼓は、
良く眠れるように。
風邪をひくことなく、
元気に育ちますように。
女の子が一生恵まれる事を願って。
ちなみに、赤く色づくいちごには
魔除けの意味があります。
這い子といい、這えば立て、
立てば歩めの親心。
子の健やかな成長を願います。
早く読み書きができるようになり、
勉学に励みますように。